祖母をたずねて35區

父の遺品を整理した。昭和21年に発行された25円の東京の地図と大正10年発行で非売品である薄汚れた東京地名便覧が出てきた。

コンサイス東京都35區區分地圖帖(表)

コンサイス東京都35區區分地圖帖(裏)



東京市電気局発行 東京地名便覧

地名



東京地名便覧を見ていると頁の間から2枚の写真がぱらりと落ちた。



これは何だ。昔、父に聞いた話を思い出した。

父は養子であった。実父(私の祖父)は東京で鉄道関係の仕事をしていたが若くして亡くなった。実母(私の祖母)はその後も東京に一人で住んでいた。私の言葉が限りなく東京弁に近いのはこの辺のDNAのせいかもしれない。父は戦後一度祖母に会いに行ったらしい。地図はその時のものだろう。東京見物で迷わないよう都電のどの駅で降りたらよいかが分る地名便覧を祖母からもらったのだろう。これは非売品であるが祖父が鉄道関係の仕事をしていたので、その縁で手に入れたものだ。 そうすると写真は祖母とその家だ。どこだろう。父が東京オリンピックの後、一度訪ねたがもう家はなくなっていた。地名も昔と変っており捜すのが大変だったと言っていた。ただ昔の地名が何と言っていたかは忘れたが残っていたそうである。何と言う地名だったかは思い出せない。よく聞いておけばよかった。地名便覧に挟んであったのだが、どの頁から落ちたのか残念ながらわからない。

よし、この場所を捜し出してやろう。分っているのは、

  1. 東京都内
  2. 東京35區の時代にはあった地名で今はない
  3. その地名はなんらかの形で残っている
  4. 古びた写真
  5. 古い地図と地名便覧

3人目の祖母がどこに住んでいたかを捜し出そう。
調べてみたら東京35區時代の地名は1,312もある。まぁ、やるしかないか。

(2010.1.1)